
業務システムの導入を検討すると、大きく2つの進め方があることに気づきます。ひとつは自社の仕事に合わせて一から開発する方法、もうひとつは、すでに用意されているサービスを契約して使う方法です。
どちらが優れているというものではなく、会社の規模や仕事の進め方によって、向き不向きが分かれます。この記事では、両者の違いを費用・期間・自由度の3つの観点から整理します。
「借りる」— 既製のサービスを契約して使う
まず「借りる」方法です。あらかじめ作られた仕組みを、月額または年額の料金で利用します。会計や勤怠管理、顧客情報の管理など、多くの会社に共通する業務については、こうしたサービスが数多く提供されています。
契約後は、インターネットにつないだパソコンから利用できるものが一般的です。専用の機械を社内に置く必要がなく、申し込んですぐ使い始められる点が特徴です。
また、機能の追加や不具合の修正、安全性を保つための更新作業は、提供している側が行います。利用する側で技術的な管理をする必要が少ないため、社内に詳しい担当者がいない場合でも扱いやすい形です。
一方で、仕組みの作りはあらかじめ決まっています。自社独自の手順がある場合、そのまま当てはめられないことがあり、業務の側を仕組みに合わせて変える必要が出てくる場合もあります。
「作る」— 自社の業務に合わせて開発する
もうひとつが、自社の仕事の流れに合わせて開発する方法です。既製のサービスでは対応しきれない独自の手順がある場合や、複数の業務をひとつにまとめたい場合に選ばれます。
特徴は、必要な機能だけを、必要な形で用意できることです。現場で使っている用語をそのまま画面に表示する、独自の計算方法を組み込む、既存の別の仕組みとつなげる、といったことができます。
そのぶん、何をどう作るかを決める打ち合わせから始まるため、使い始めるまでには時間がかかります。また、開発した後も、動かし続けるための保守が必要になります。
費用の考え方の違い
費用面では、支払いの形が大きく異なります。
借りる場合は、初期費用が抑えられる代わりに、利用している間ずっと月額の費用が発生します。利用する人数に応じて料金が上がる仕組みも多く、社員が増えれば費用も増えていきます。
作る場合は、開発時にまとまった費用がかかり、その後は保守の費用が中心となります。長く使うほど1年あたりの負担は下がっていきますが、最初の支出は大きくなります。
どちらが割安かは、使う期間と人数によって変わります。数年単位で見たときの総額で比べると、判断しやすくなります。
導入までの期間の違い
借りる場合は、申し込みから数日、早ければ当日から使い始められるものもあります。まず試してみて、合わなければ別の方法を検討する、という進め方もできます。
作る場合は、話し合いから設計、開発、動作の確認までを経るため、規模にもよりますが数か月かかることが一般的です。その間、現場の担当者にも確認や意見出しの時間を取ってもらう必要があります。
情報の引き継ぎやすさ
見落とされがちですが、将来別の方法へ移す場合に、登録した情報を取り出せるかどうかも確認しておきたい点です。
借りる場合は、解約後に情報を取り出せる形式や期限が決められていることがあります。作る場合は自社で管理できる形になりますが、取り出しやすい作りにしておくかどうかは、設計の段階で相談しておく必要があります。長く使う仕組みほど、この点は効いてきます。
どちらを選ぶかの目安
判断に迷う場合は、次のような点を確認してみてください。
- 仕事の進め方が一般的な形に近い … 既製のサービスで足りることが多くなります
- 同業でも珍しい独自の手順がある … 開発を検討する価値があります
- すぐに使い始めたい … 既製のサービスが向いています
- 扱う情報を社内で管理したい事情がある … 開発を含めた検討が必要です
- 使う人数が今後大きく増える見込み … 長期の総額で比較しておくと安心です
両方を組み合わせるという考え方
なお、どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。会計や勤怠のように一般的な業務は既製のサービスを使い、自社ならではの部分だけを開発する、という組み合わせ方もあります。
すべてを一度に作ろうとすると費用も期間も膨らみますので、まずは既製のサービスで対応できる範囲を見極め、どうしても合わない部分だけを検討する、という順番で進めるのが現実的です。
まとめ
業務システムには「作る」と「借りる」の2つの進め方があり、費用の支払い方、使い始めるまでの期間、業務に合わせられる自由度がそれぞれ異なります。
大切なのは、どちらが優れているかではなく、自社の仕事の進め方と、かけられる費用や期間に合っているかどうかです。判断に迷う場合は、まず現在の業務の手順を書き出したうえで、既製のサービスでどこまで対応できそうかを確認するところから始めてみてください。
