
ホームページを作ろうと決めたとき、最初に思い浮かぶのはデザインや費用のことかもしれません。ただ、打ち合わせの場で意外と時間がかかるのは、「このホームページは、誰に何を伝えるためのものか」という部分です。
ここが曖昧なままだと、掲載する内容が決まらず、出来上がったものを見ても良し悪しの判断がつきにくくなります。逆に、発注する側でこの整理ができていると、その後の話が驚くほど早く進みます。
この記事では、制作を依頼する前に整理しておきたい3つの観点をご紹介します。
1. 誰に読んでほしいか
最初に考えたいのは、読み手です。「多くの人に見てほしい」という気持ちは自然ですが、対象を広く取るほど、内容は当たり障りのないものになりがちです。
次のように、実際にありそうな場面を思い浮かべると具体的になります。
- 紹介を受けて会社名を検索した、取引先の担当者
- 折り込みチラシを見て、詳しい内容を確かめようとしている近隣の方
- 求人を見て、どんな会社か知りたい応募希望者
- 見積もりを取る前に、数社を見比べている購買担当者
複数の相手がいる場合は、優先順位をつけておきます。すべての人に同じ比重で応えようとすると、どの相手にも届きにくい構成になってしまうためです。
「これまでどんな経路でお客様が来ているか」を振り返ると、実態に沿った答えが出やすくなります。
2. その人が知りたいことは何か
次に、その読み手が何を確かめようとしているかを考えます。
ここで起きやすいのが、「伝えたいこと」と「知りたいこと」のずれです。作り手側は自社の強みやこだわりを説明したくなりますが、読み手はもっと手前の情報を求めていることがあります。
たとえば、次のような点です。
- どこにある会社か、対応してもらえる地域か
- 何を扱っているのか、自分の困りごとに対応できるのか
- おおよその費用はどのくらいか
- 依頼するとどういう流れで進むのか
- 実際にどんな仕事をしてきたのか
- 問い合わせるとどうなるのか(しつこく営業されないか)
普段お客様から尋ねられる質問を思い出して、書き出してみるのが確実な方法です。同じことを何度も説明している内容は、そのままホームページに載せるべき情報である可能性が高いといえます。
3. 読んだ後に、どうしてほしいか
三つ目は、読み終えた人にとってほしい行動です。ここが決まっていないと、ページの終わり方が定まりません。
行動の例としては、次のようなものがあります。
- 電話やフォームから問い合わせてもらう
- 資料を請求してもらう
- 来店・来社してもらう
- 求人に応募してもらう
- 「きちんとした会社だ」と安心してもらう(その場では行動しない)
最後の「安心してもらう」も、立派な目的のひとつです。すべてのホームページが問い合わせを増やすために作られるわけではありません。紹介や既存のお客様との関係が中心の事業では、確認の場として機能することのほうが重要な場合もあります。
目的がはっきりすると、必要なページも見えてきます。問い合わせが目的なら連絡手段を分かりやすく置く、応募が目的なら働く環境が伝わる情報を載せる、といった具合です。
うまく決まらないときの考え方
3つの観点を考えても、なかなか言葉にならないことがあります。そんなときは、次のような方法が助けになります。
これまでの受注経路をたどる 過去に受けた仕事を10件ほど並べ、どういう経緯で依頼につながったかを書き出してみます。紹介が多いのか、検索なのか、地元のつながりなのか。実際の割合が見えると、力を入れるべき相手がはっきりします。
既存のお客様に聞いてみる 付き合いのある方に「依頼する前、どんなことが気になりましたか」と尋ねてみると、自分では気づかない不安や疑問が出てきます。読み手の知りたいことを知る、もっとも確かな方法です。
自分が発注する側になった場面を思い出す 何かを依頼しようとしてホームページを見たとき、何を探し、何が分からなくて迷ったか。その感覚は、そのまま参考になります。
手元にある材料を確認しておく
3つの観点を整理したら、あわせて手元の材料も確認しておきます。
- 掲載できる写真があるか(なければ撮影が必要になります)
- 過去の実績や事例を、名前を出さずに紹介できるか
- 会社概要に載せる情報がそろっているか
- 公開後、社内の誰が更新を担当するか
特に写真と更新の担当者は、後から慌てやすい部分です。早い段階で見通しを立てておくと、公開までの流れが滞りません。
打ち合わせでの伝え方
整理した内容は、きれいな資料にする必要はありません。箇条書きのメモで十分です。
「誰に見てほしいか」「その人に何を伝えたいか」「読んだ後にどうしてほしいか」の3点が言葉になっていれば、制作を担当する側は構成やデザインの方向性を考えられます。
逆に、この部分が決まっていない状態で「おしゃれな感じで」といった伝え方になると、判断の基準がないまま作業が進み、修正が繰り返される原因になります。
まとめ
ホームページ制作の準備で大切なのは、デザインの好みを固めることよりも、「誰に、何を伝え、どうしてほしいか」を言葉にしておくことです。
この3点が定まっていれば、載せる情報も、ページの構成も、公開後に何を見て判断すればよいかも決まってきます。時間をかけるべきなのは、実は制作が始まる前のこの部分です。手元のメモから、少しずつ書き出してみてください。
