
「GoogleのAIを仕事に使ってみたい」と思って調べ始めると、Gemini、Gemini Notebook、Google AI Studio、Vertex AI、Flow……と似たような名前がいくつも出てきて、どれを触ればよいのか分からなくなることがあります。
わかりにくい理由ははっきりしていて、これらは競合するサービスではなく、それぞれ「対象となる人」と「役割」が違うからです。ここでは、名前ではなく用途で整理してみます。
Gemini ── まずはここから
Geminiは、Googleが提供するAIチャットサービスです。質問への回答、文章の作成や要約、翻訳、画像の説明など、いわゆる「AIと会話しながら仕事を進める」使い方の入口になります。パソコンのブラウザからも、スマートフォンのアプリからも使えます。
料金は、無料で使える範囲に加えて、月額の有料プラン(Google AI Plus、Google AI Pro、Google AI Ultra)が用意されています。有料プランになるほど使えるAIモデルの性能が上がり、利用できる回数や機能も増える仕組みです。プランの構成や価格は変更されることがあるため、契約前に公式サイトでご確認ください。
Gemini Notebook ── 手元の資料だけを読ませるAI
以前「NotebookLM」という名前で提供されていたサービスは、2026年7月にGemini Notebookへと名称が変わりました。名前とロゴが変わっただけで中身は同じサービスであり、これまで作ったノートブックや共有リンクもそのまま使えます。
Geminiとの一番の違いは、「答えの範囲」です。Geminiはインターネット上の幅広い知識をもとに答えますが、Gemini Notebookは、こちらがアップロードした資料(PDF、社内文書、議事録、Webページなど)だけを読み込んで答えます。
そのため、次のような場面に向いています。
- 分厚いマニュアルや契約書から、必要な箇所だけを探す
- 複数の資料をまとめて読み込ませ、要点をまとめてもらう
- 社内向けの手順書やFAQのたたき台をつくる
「一般論ではなく、自社の資料に基づいた答えがほしい」というときの道具だと考えると、使い分けが見えてきます。
Google検索の中のAI ── 意識せずに使っているもの
いつものGoogle検索で調べものをしたとき、検索結果の一番上にAIによる要約が表示されることがあります。これもGoogleのAIサービスの一部です。さらに、対話しながら調べられる「AIモード」も用意されています。
わざわざ別のサービスを開かなくても使えるため、「AIはまだ使ったことがない」と思っている方でも、実は日常的に触れているケースが少なくありません。
ただし、検索結果に表示される要約は、あくまで参考情報です。重要な判断に関わる内容は、要約の下に示されている参照元のページを開いて確かめる習慣をつけておくと安心です。
Flow ── 画像や動画をつくる
Flowは、画像生成と動画生成をひとつの画面でまとめて行えるツールです。動画生成には「Veo」、画像生成には「Nano Banana」といったモデルが使われており、以前は別々に提供されていた画像生成の実験的なサービスもFlowに統合されました。
商品イメージのラフ案づくりや、SNS向けの短い映像素材づくりなどに使われています。ただし、生成した素材を業務で使う場合は、利用規約や商用利用の条件を確認しておく必要があります。
Google AI Studio と Vertex AI ── 作り手向け
この2つは、一般の利用者というより、システムを開発する側が使うサービスです。
Google AI Studioは、AIの動作を細かく試したり、簡単な試作品をつくったりするための環境です。Vertex AIは、自社の業務システムや顧客向けサービスにAIを組み込むための、より本格的な開発基盤にあたります。
「社内でAIチャットを使いたい」という目的であれば、この2つを最初に触る必要はありません。
業務で使うなら押さえておきたい点
無料の個人向けサービスと、法人契約のサービスとでは、入力した情報の扱いが異なります。Google Workspaceなどの法人向け契約では、組織のデータがAIの学習に使われない仕組みや、管理者が利用状況を管理できる機能が用意されています。
顧客情報や見積書など、社外に出せない情報を扱う可能性があるなら、まず「どの契約で使っているか」を確認するところから始めるのが安全です。
まとめ
- 日常的な相談ごとや文章作成 → Gemini
- 自社の資料を読ませて調べたい → Gemini Notebook
- 画像や動画の素材をつくりたい → Flow
- システムに組み込みたい → Google AI Studio / Vertex AI
まずはGeminiを触ってみて、「手元の資料について聞きたい」という場面が出てきたらGemini Notebookを試す、という順番が分かりやすいかと思います。サービス名や機能は入れ替わりが早い分野ですので、気になったときは公式の案内をあわせてご確認ください。
