上空から自社の敷地や周辺の景色をとらえた映像は、写真だけでは伝わりにくい「規模感」や「立地」を一目で伝えてくれます。近年は機材の価格が下がったこともあり、中小企業の会社案内やホームページでも空撮映像を見かける機会が増えました。
当社でもドローンによる空撮は、サービスの1つとして取り入れています。

ここでは、空撮映像がどんな場面で役立つのか、そして撮影を依頼する前に知っておきたい点を整理します。
空撮が効果を発揮しやすい場面
敷地や設備の規模を伝えたいとき 工場、倉庫、資材置き場、駐車場など、地上からでは全体が写らない対象に向いています。「大きな設備を持っている」という説明を、言葉ではなく映像で示せます。
立地や周辺環境を伝えたいとき 不動産、宿泊施設、店舗などでは、周りに何があるかが判断材料になります。地図では伝わらない距離感を補えます。
作業の様子を記録したいとき 建設、土木、屋根や外壁の工事など、施工の流れを上から追った映像は、実績紹介として説得力があります。
採用の場面 働く環境や会社の周辺の雰囲気が伝わると、応募前の不安が減ります。求人ページに数十秒の映像を添えるだけでも印象が変わります。
ホームページでの使い方
撮影した映像は、次のような形で使われることが多いです。
- トップページの背景として、10〜15秒ほどに短く編集したものを流す
- 会社案内動画の冒頭に、全景を映すカットとして入れる
- 事業紹介ページに、動画共有サービス経由で埋め込む
- 静止画として切り出し、パンフレットや名刺の背景に使う
ホームページの背景として使う場合は、ファイルの容量に注意が必要です。長尺で高画質の映像をそのまま置くと表示が重くなり、スマートフォンからの閲覧で不便になります。背景用は短く軽く、じっくり見せたい映像は動画共有サービスに置いて埋め込む、という使い分けが現実的です。音声も、自動で鳴らない設定にしておくのが基本です。
撮る前に決めておきたいこと
空撮は、機材を飛ばせば絵になる映像が撮れるため、目的があいまいなまま撮影に進んでしまいがちです。しかし「かっこいい映像は撮れたが、どこにも使わないまま置いてある」という状態は、実際によく起こります。
撮影日を決める前に、次の3点を整理しておくと無駄がありません。
- どこで使うのか ── ホームページのどのページか、会社案内か、展示会での上映か
- 何を伝えたいのか ── 敷地の広さか、周辺の環境か、作業の様子か。伝えたいことが決まれば、飛ばす高さや動かし方も決まります
- いつの季節がよいのか ── 屋外の映像は季節や時間帯で印象が大きく変わります。緑の多い時期に撮るのか、雪景色を入れるのかで、撮影時期そのものが変わってきます
この3点が決まっていれば、撮影する側も具体的な提案がしやすくなります。
依頼前に知っておきたいルール
ドローンの飛行は航空法などで細かく定められており、「どこでも自由に飛ばせる」わけではありません。発注する側も、大まかな枠組みを知っておくとやり取りがスムーズになります。
機体の登録 重さ100g以上の機体は国への登録が義務づけられており、登録記号の表示なども必要です。
許可・承認が必要になる飛行 人口集中地区の上空、地表から150m以上の高さ、空港周辺などの空域は、原則として許可が必要です。また、夜間の飛行、目視の届かない範囲での飛行、人や建物から30m以内での飛行、イベント上空での飛行なども承認の対象になります。市街地での撮影は、この条件に該当することがほとんどです。
撮影の許可は別の話 飛行の許可を得ていても、私有地の上空で撮る場合や、施設の敷地内から離着陸させる場合は、その土地・施設の管理者の了解が別途必要です。この2つは別々の手続きだと考えてください。
資格について 国家資格である無人航空機操縦士の制度が整備され、申請手続きの面でも資格の有無が関わるようになっています。依頼先を選ぶ際の目安のひとつになります。
依頼時に確認しておきたいこと
- 必要な許可・承認の申請は、どちらが行うのか
- 賠償責任保険に加入しているか
- 天候で飛ばせなかった場合の予備日と費用の扱い
- 納品されるデータの形式、解像度、長さ、縦横比(横長だけでなく、SNS向けの縦型が必要かどうか)
- 撮影素材そのものを受け取れるのか、編集済みの完成品だけなのか
特に最後の点は後々効いてきます。素材データを手元に残しておけば、数年後に別の用途で編集し直すことができます。
自社で機材を用意する選択肢について
「自分たちで飛ばせば安く済むのでは」と考えられることもあります。機材自体は以前より手に入りやすくなりました。
ただし、業務として撮影する場合は、機体の登録、必要な許可の申請、保険への加入、飛行記録の管理といった事務手続きが伴います。年に数回の撮影のために、この体制を社内に整えるのは負担が大きいかもしれません。
逆に、工事の進捗記録を毎月撮る、農地や設備を定期的に確認するなど、繰り返し発生する用途があるなら、社内に担当者を置く意味は出てきます。撮影の頻度と目的から判断されるとよいかと思います。
まとめ
空撮映像は、うまく使えば会社の伝わり方を大きく変えてくれる素材です。一方で、飛ばす場所やタイミングによっては手続きに時間がかかることもあります。「この時期の公開に間に合わせたい」という予定があるなら、余裕をもって相談を始めておくと安心です。
